『モンスターズ』

【Monsters / 地球外生命体】
「SF、クリーチャー、低予算」と来ると、もう無条件でツボでして、観ないわけには行きませんでした。しかし、作品の鮮度には全く興味がなく、普段劇場には滅多に行かない自分は、本作が渡辺謙がキャスティングされている2014年のゴジラを作った監督の、長編デビュー作だとは全く知りませんでした。これは正直掘り出し物です。この手の作品を観るからには、特殊効果なりアクションシーンなりの出来を期待する人が多いのかも知れませんが、制作費たかだか50万ドルの作品にそんなもの期待するのは間違ってます。直球のカタルシスが欲しければ、こんな超マイナーな作品を選ぶ必要はありません。そのへんの機微が解る人だけが観ればいいのです。

個人的には、SF映画はプロットが命だと考えています。では、本作のプロットはというと、地球外生命体のサンプルを採取したNASAの探査機が、大気圏突入時にメキシコ上空で大破して…という、非常にチープなものなのです。しかし、それが実際に作品内の各オブジェクトに落とし込まれた結果、まんまタコっていうクリーチャーの姿は「カッコ苦笑」だとして、南米北部のかなりのエリアを「INFECTED ZONE(=汚染地域)」とした描写は、非常なリアリティを持って迫ってきました。説得力は細部に宿るのですよ。本作においては、低予算ながらこの汚染地帯の演出がかなり丁寧なのです。

そして、肝心のストーリーですが、クリーチャーとのガチ勝負を描いては予算不足を絶対に補えないと監督が判断したのでしょう。クリーチャーの存在はあくまでシチュエーションであり、その極限状態での人間模様、具体的には「男女関係における吊り橋効果」に的を絞ったことが、成功したのだと思います。新聞社に写真を提供しているダメ男カメラマンが、別の男と婚約中のその新聞社の社長令嬢を無事に本国に送り届けるミッションを言い渡されるのですが、トラブルから安全が保障されている海路を絶たれ、危険な陸路を進むことになります。90分ちょっとの短い中で、男と女それぞれの立場、こんな特殊な状況の中でなければ絶対に起こり得なかったであろうシンパシーなどが効率的に描かれ、最後にはまぁ予想された展開となります。

が、低予算作品にありがちな「観ている者への荒削りなショック」を、本作も忘れていませんでした。レビューの中に、「二度目に気が付いた」という旨を発見し、何のことだろうと思ったのですが、初回にかなり酔っていた自分は、全体を確認するためもう一度最初から観て、衝撃を受けました。最後まで観て、あぁまぁこのオチだったら良かったんじゃないの?とほんわかしていた自分を奈落に突き落とす事実でした。二回観るのはマストではありませんが、最初見終わった後に冒頭を見返すことは強くお勧めします。

Amazon Prime Videoでは現在無料です。Gyaoでも観られるようです。

This entry was posted in Movies. Bookmark the permalink.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>